Case Studies

支援事例

社会保険料の負担軽減に関するご相談

個人事業と法人の役割を整理し、社会保険料の負担を見直す
サービス業(IT・Web関連)男性・30代
資金繰り/融資・補助金支援

個人事業を続けるなかで、国民健康保険料や国民年金の負担が気になることはありませんか。負担を見直す選択肢の一つに、個人事業を続けながら、事業の一部を法人で運営する方法があります。

今回は、実際にあった個人事業と法人の役割を分ける取り組みをもとに、制作事業と教育事業を行うIT・Web系の個人事業主を想定したモデルケースをご紹介します。

※業種・地域・金額等は、仕組みを説明するために設定したモデル条件です。実際のお客様の数値や削減実績を示すものではありません。

ご相談の経緯

今回取り上げるのは、事業の一部を法人で運営することで、社会保険料の負担を見直すケースです。

モデルでは、制作事業と教育事業を個人で営み、配偶者に専従者給与を支払っている状況を想定します。年間売上は1,500万円で、経費と専従者給与を差し引いた所得は800万円。夫婦の国民健康保険料と国民年金は、年間約136万円とします。

項目

年間の金額

売上

1,500万円

経費

500万円

配偶者への専従者給与

200万円

差引所得

800万円

国民健康保険料

約95万円

国民年金(夫婦2人分)

約41万円

国民健康保険料・国民年金の合計

約136万円

この条件をもとに、現在の仕事内容を続けながら、個人と法人で役割を分けた場合の負担を比較します。

対応と結果

STEP1 法人成りとマイクロ法人の活用を検討

法人化には、個人事業全体を法人へ移す「法人成り」のほか、個人事業を続けながら小規模な法人を設ける、いわゆる「マイクロ法人」の活用という選択肢があります。

今回のモデルケースでは、制作事業と教育事業を業務内容で分けられることが検討のポイントです。そこで、制作事業は個人で継続し、教育事業を法人で運営する案について、現状との負担の違いを試算します。

STEP2 個人と法人で担う業務を整理

個人と法人の役割と売上を、次のように設定します。

事業の形態

担う業務

年間売上

個人事業

制作事業

1,200万円

法人

教育事業

300万円

 

個人事業側の経費は500万円とします。配偶者への専従者給与200万円は支払わず、法人から報酬を支払う形に変更するため、個人事業の所得は700万円となります。

なお、このモデルでは経費500万円をすべて制作事業側に計上しています。実際に検討する際は、売上の金額だけで振り分けず、業務内容や経費の実態に沿って、個人と法人の役割を整理することが大切です。

STEP3 役員報酬と社会保険料を試算

法人から支払う役員報酬は、本人・配偶者それぞれ月10万円、年間合計240万円とします。

社会保険料は、本人が40歳未満で、配偶者自身の社会保険加入が必要なく、本人の扶養に入る条件を満たす想定です。この前提で、本人負担・法人負担をそれぞれ年間約16万円として計算します。

※配偶者が扶養に入れるかどうかは、報酬額だけでなく、勤務・業務の実態などを踏まえて確認する必要があります。

法人側の項目

年間の金額

売上

300万円

役員報酬の合計

240万円

社会保険料の法人負担分

約16万円

利益

約44万円

法人税等

約17万円

 

今回は比較を簡略化するため、法人側には役員報酬と社会保険料以外の経費を計上していません。負担の比較には、本人が支払う社会保険料だけでなく、法人が負担する分も含めます。

STEP4 法人税等も含めて負担を比較

見直し前の国民健康保険料・国民年金は、夫婦合計で年間約136万円です。

これに対し、今回の案では、本人と法人の社会保険料が合計年間約32万円、法人税等が年間約17万円となる試算です。

比較する負担

年間の金額

見直し前:国民健康保険料・国民年金

約136万円

見直し案:社会保険料の本人・法人負担分+法人税等

約49万円

上記の項目に限った差額

約87万円

 

比較した項目に限ると、年間約87万円の差額が生じる計算です。

ただし、この金額は最終的な手取りの増加額ではありません。個人の所得税・住民税の変化や、法人の設立・維持費用などは含んでいないため、実際の負担軽減額は、これらも合わせて判断する必要があります。

個人事業側の消費税は引き続き納める前提とし、免税による効果は今回の試算に織り込んでいません。また、保険料や税額は、適用年度や年齢、加入先などの条件によって異なります。

成果

今回のモデルケースでは、制作事業を個人で続けながら教育事業を法人で運営することで、社会保険料を中心に負担を見直せる可能性を示しました。

検討のポイントは、法人を設立することだけではなく、事業内容に沿って個人と法人の役割を分け、ご家族の働き方や報酬も含めて整理することです。

実際にどの方法が適しているかは、税金や法人の維持費用、運営にかかる手間まで含めて比較することが大切です。

担当者コメント

社会保険料の負担に関するご相談では、現在の売上や利益に加え、どのような仕事をされているか、ご家族がどのように事業に関わっているかも伺います。

今回のように、個人事業を続けながら、一部の事業を法人で運営する方法が考えられる場合もあります。法人成りとマイクロ法人の活用を含め、税金や維持費用まで比較し、その方の事業に合った方法を一緒に検討していきます。

記事の監修

plusC会計事務所

代表税理士 平川 太郎

経営とは、ヒト・モノ・カネ・情報を掛け合わせながら価値を生み直し続ける“終わりなきプロジェクト”という考えのもと、企業の持続的な成長を支援。
5つの“+C”(Consulting・Creative・Competition・Cash・Combination)を理念に、経営判断に必要なデータ分析や資金繰り支援、デジタルツールを活用した効率化サポートを行う。

上部へスクロール