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一人社長の税理士の使い方|経理は任せて、数字は3つだけ握る

経理まで自分でやると、本業の時間が足りない。かといって、税理士に全部任せたら、会社のことが分からなくなりそう。そんな二択で悩んでいませんか。

記帳や申告の作業は、税理士に任せて構いません。社長が押さえておきたいのは、「原価率」「固定費」「損益分岐点売上」の3つです。自分で帳簿をつけることと、自社の数字を把握することは、同じではありません。

「毎月、いくら売り上げれば事業を続けていけるのか」。税理士と一緒にこの目安をつくり、日々の売上と照らし合わせる。今回は、本業に集中しながら数字も見失わない、一人社長の税理士の使い方を紹介します。

経理を任せる一人社長が、押さえておきたい3つの場面

記帳から決算・申告までまとめて依頼すれば、経理に使っていた時間を営業やサービスの提供に回せます。ただ、作業を任せても、自社の数字を知らないままだと判断に迷う場面は残ります。契約を検討するときから、次の3つを意識しておきましょう。

打ち手が遅れる——見るべき数字が決まっていない

売上は先月より増えたのに、なぜかお金が残らない。このとき、売上と一緒に増える支出や毎月の固定費が分かっていれば、外注費が増えたのか、毎月の支払いが重くなったのか、確認する先が見えてきます。

毎月自分で入力していても、「いくら売り上げれば赤字を避けられるか」が分からなければ、次の行動は決めにくいものです。反対に、記帳を任せていても、その目安を知っていれば、売上の落ち込みに早めに気づけます。

税理士に数字を整理してもらい、社長は判断に使う数字を押さえる。この関係をつくることが大切です。

顧問料が高いのか安いのか、自分で判断できない

初めて税理士を探すとき、料金の相場は気になるところです。ただ、相場との比較だけでは、自社にとって無理のない負担かどうかまでは分かりません。

顧問料も、毎月の固定費の一つです。原価率と固定費を押さえていれば、依頼後に必要な売上がどれだけ増えるかを考えられます。そのうえで、記帳や申告を任せられる範囲、本業に使える時間が増える価値も含めて検討しましょう。

自社の数字は、料金を判断する土台になります。単に安いか高いかではなく、必要なサポートに納得して費用を払えるかを見ることが大切です。

自分の会社を自分の言葉で説明できない——融資・値決めの場面で困る

融資を相談するときには、何のためにお金が必要で、どう売上をつくり、返していくのかを説明します。税理士に資料づくりを支えてもらいながら、経営者自身も数字と事業の見通しを結びつけて話せるようにしておきたいところです。

見積もりや値下げの相談でも同じです。受注額だけを見ていると、外注費などを払ったあとに、いくら残るかを見落としがちです。自社の原価率が分かれば、その金額で仕事を受けてよいかを考える材料になります。

では、社長は何を見ていればいいのでしょうか。まず押さえる数字を3つに絞ります。

一人社長が自分で持つ数字は3つ

原価率——業種や仕事の受け方によって違う

一つ目は、売上に対して原価がどのくらいかかるかを表す「原価率」です。まずは、売上が増えると一緒に増える支出の割合を、税理士と確認しましょう。

商品の仕入れや材料費のほか、仕事ごとに発生する外注費も確認の対象です。同じ業種でも、自分で対応する仕事が多いか、外注を多く使うかで、お金の残り方は変わります。

なお、損益分岐点の計算では、原価以外も含めた「売上に連動する支出の割合(変動費率)」を使います。売上に応じて増える手数料などがある場合は、そこまで含めて整理してもらうと、実態に合った目安になります。

固定費——売上が上下しても毎月出ていくお金

二つ目は「固定費」です。役員報酬や家賃、月額サービスの利用料など、売上の増減にかかわらず発生する費用を指します。社長が知っておきたいのは、「売上が少ない月でも、毎月どれくらいの負担があるか」です。

整理するときは、売上に連動して増減する「変動費」と分けて考えます。固定費と変動費は、費用の名前だけでは決まりません。同じ人件費や広告費でも、売上にかかわらず一定額を支払うのか、売上や受注量に応じて支払額が変わるのかによって分けて考えます。

費用の種類固定費になる例変動費になる例
人件費毎月定額の役員報酬・基本給売上に応じて支給する歩合給・インセンティブ
広告・紹介にかかる費用毎月定額の広告掲載料成約1件ごとに支払う紹介料・成果報酬
外注費受注量にかかわらず毎月定額で支払う業務委託料受注案件ごとに発生する制作・作業の委託料

このほか、毎月定額の家賃やソフトの月額利用料は固定費、販売量に応じた商品の仕入原価や材料費は変動費の代表例です。

たとえば「基本給20万円+売上に応じた歩合給」という給与体系なら、基本給20万円は固定費、歩合給は変動費として整理します。一つの費目に両方が含まれる場合は、分けて考えることで、売上が増えたときにいくら利益が残るかを把握しやすくなります。

※分類は契約内容や費用の発生の仕方によって異なります。自社の場合にどう分けるかは、税理士と一緒に確認しましょう。

一方で、細かな費用まで無理に分ける必要はありません。水道光熱費のように基本料金と使用量に応じた料金があるものでも、売上に対する割合が小さければ、細分化しても計算結果への影響はわずかな場合があります。まずは材料費・外注費・歩合給など、金額の大きい費用から税理士と整理しましょう。

借入返済がある場合は、毎月の返済額も一緒に確認します。ただし、返済の元本は会計上の費用にはならないため、固定費とは分けて、資金繰りに必要なお金として把握します。

費用の分類を一人で調べ込む必要はありません。税理士に整理を任せ、自分は毎月の負担と、売上に応じて増える費用を説明できる状態にしておきましょう。

損益分岐点売上——この2つから逆算する

三つ目は、売上と費用がちょうど釣り合う「損益分岐点売上」です。原価率と固定費が分かると、必要な売上を逆算できます。

たとえば、原価率が30%、毎月の固定費が50万円の会社を考えます。計算をシンプルにするため、売上に連動する支出は原価だけとします。

売上から原価を引いて残る割合、つまり粗利率は70%です。この70%で、固定費50万円をまかなう計算になります。

50万円 ÷ 70% = 約71.4万円

この会社の損益分岐点売上は約71万円。実際の売上目安としては、端数を切り上げて月72万円と考えると分かりやすいでしょう。このラインを超えた分から利益が生まれます。

ただし、これは利益がゼロになる目安です。借入返済や納税、入金までの時間差もあるため、「この売上があれば必ずお金が減らない」とは限りません。手元のお金を保つために必要な売上も、税理士と一緒に確認しておきます。

そこまで整理できれば、日々は売上が目安を超えているかを確認し、あとは通帳の残高を見ましょう。売上は届いているのに残高が減っているなら、入金の遅れや大きな支払いがなかったかを確かめ、早めに相談できます。

最初からたくさんの指標を覚える必要はありません。3つの数字を出発点に、必要な確認を税理士と決めていきましょう。業種ごとの目安は別記事で解説します。

経理を任せながら、会社の数字を把握するには

経理を任せるときは、「どの作業をお願いするか」に加えて、「何を共有し、どの数字を確認するか」も決めておきましょう。ここでは、記帳から申告まで依頼する場合の役割分担を考えます。

作業を任せる範囲と、自分が確認することを分ける

記帳や決算・申告は税理士に依頼し、社長は事業の予定を伝え、整理してもらった数字を経営判断に使う。このように分ければ、会計ソフトに自分で入力しなくても、会社の状況を把握できます。

役割担当すること
社長が確認・判断する原価率・固定費・損益分岐点売上を把握し、売上や通帳残高の変化を見て次の行動を考える
社長から共有する取引の資料と内容、今後の契約・外注・投資などの予定
税理士に依頼する記帳、決算・申告、数字の整理、役員報酬の設計支援、税制改正への対応など。具体的な範囲は契約時に確認する

最初に「うちの原価率と固定費はどれくらいか」「毎月必要な売上はいくらか」を一緒に整理してもらいましょう。外注を増やしたり、毎月の支払いが変わったりしたら、その目安も見直します。

資料の共有方法と、数字を確認するタイミングを決める

資料をどの形式で、いつまでに渡すかは、依頼先や取引の内容によって変わります。資料を送ったあと、いつの分まで記帳が進み、どの数字を確認できるのかも、あらかじめ擦り合わせておくと安心です。

帳簿がまとまるまでの間も、手元の売上や入金予定、通帳残高は確認できます。売上の落ち込みや入金の遅れに気づいたら、資料の提出日を待たずに共有しましょう。

請求書や領収書などは、あとで確認できるように保存しておく必要があります。記帳を任せても、会社としての保存責任は残ります。法人税法上、帳簿書類の保存期間は原則7年で、一定の欠損金が生じた事業年度などは10年です。また、2024年1月以降の電子取引では、メールやウェブで授受した請求書・領収書などを、原則として電子データのまま保存する必要があります。保存場所や方法も税理士と決めておきましょう。※1

たとえばplusC会計事務所では、所定のシートに入力して資料を共有する方法を用意しています。社長が会計ソフトで仕訳を入力する必要はなく、入力項目や提出資料は取引に合わせて決めます。資料を提出して、記帳をまとめて任せる方法も選べます。

これは役割分担の一例です。自分が無理なく続けられ、税理士にも必要な情報が届く方法を相談して決めましょう。

今の記帳を続けるか迷っている方は、こちらの記事も参考にしてください。

記帳を自分で続けるべきかの見極めはこちら

税理士との面談は年何回必要か

事業の変化と、相談したい内容に合わせて選ぶ

数字を把握するために、必ず毎月面談する必要はありません。取引や支出が安定し、必要なときに相談できるなら、定期面談を少なくする選択肢もあります。

一方、売上の変動が大きい、人を雇う予定がある、大きな投資を考えている場合などは、途中で数字を見直す機会が役立ちます。会社の規模や回数だけで決めず、「いつ、何を判断したいか」から考えましょう。

たとえば期首には役員報酬や今期の計画を相談し、決算の数か月前には利益の見込みや納税資金を確認する、といった進め方があります。毎回の面談で確認したいことを決めておけば、報告を聞くだけで終わらず、次の行動につなげやすくなります。

費用を比較するときは、面談回数だけでなく、記帳や申告がどこまで含まれるかも確認しましょう。plusC会計事務所には、年商3,000万円で記帳を全部委託し、年4回の面談を組み合わせて年間約40万円となった実例があります。本業に集中するため、作業をまとめて任せたケースです。これは個別のご依頼例であり、一般的な相場や同じ年商の会社すべてに適用される料金ではありません。現在の条件は料金案内で確認できます。

数字に変化があったら、次の面談を待たずに相談する

「外注を増やすと、必要な売上はどれくらい変わるか」「売上は目安に届いているのに、通帳残高が減っている」。こうした疑問が出たときが、相談のタイミングです。大きな契約や支出は、決める前に相談することも大切です。

面談以外で連絡できる手段や相談できる範囲、追加料金の有無は、契約時に確認しておきましょう。たとえばplusC会計事務所には、LINE等での相談が回数無制限のプランがあります。

3つの数字を押さえておくと、質問も具体的になります。整理しきれていなくても、気になった変化をそのまま伝えるところから始めましょう。

まとめ:「丸投げするか」ではなく「どの数字を自分で持つか」

一人社長が、自社の数字を知るために経理作業を抱え込む必要はありません。記帳や申告は任せて、原価率・固定費・損益分岐点売上の3つを押さえる。その目安と日々の売上、通帳残高を照らし合わせ、変化があれば税理士に相談する。この流れが、本業に集中しながら判断するための土台になります。

相談する前に、数字を完璧に整理しておく必要はありません。「記帳は任せたい」「自分の会社に必要な売上を知りたい」と伝えるところから始めてみましょう。

plusC会計事務所では、初回面談を無料でお受けしています。取引の内容や依頼したい範囲を伺い、本業に集中しながら数字を把握できる方法をご提案します。

税務顧問サービスについて / 初回無料相談のお問い合わせ

※1 保存制度の参照情報:国税庁「帳簿書類等の保存期間」(2025年4月1日現在法令等)、「電子取引関係」(2024年1月以降の制度)。2026年9月10日確認。

計算方法の参照:中小企業基盤整備機構 J-Net21「損益分岐点の計算方法と経営改善に向けた活用方法」。

メタディスクリプション

一人社長の経理は、税理士に任せて本業に集中して構いません。ただし、原価率・固定費・損益分岐点売上の3つは自分で把握することが大切です。任せる業務と自分で確認することの分け方、面談や相談のタイミングまで、数字を見失わない税理士の活用法を紹介します。

記事の監修

plusC会計事務所

代表税理士 平川 太郎

経営とは、ヒト・モノ・カネ・情報を掛け合わせながら価値を生み直し続ける“終わりなきプロジェクト”という考えのもと、企業の持続的な成長を支援。
5つの“+C”(Consulting・Creative・Competition・Cash・Combination)を理念に、経営判断に必要なデータ分析や資金繰り支援、デジタルツールを活用した効率化サポートを行う。

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